「男性」もつくられるー軍隊とマスキュリニティ

掲載:2024/03/09 執筆:林田敏子

本記事は、『<ひと>から問うジェンダーの世界史』第1巻「身体・セクシュアリティ・暴力」(大阪大学出版会、2024年)の関連記事です。

第1章 4)近代国家の市民権と男性性
①「男性」もつくられるー軍隊とマスキュリニティ(林田敏子)
(内容)◆近世の軍隊 ◆国民国家の形成と「勇敢な兵士」像の創出 ◆軍隊で「つくられる」兵士たち ◆自己犠牲の精神と戦友意識の形成 ◆「弱き男性」とマスキュリニティ ◆国民皆兵の時代の終焉

第一次世界大戦(1914年 7月28日~1918年 11月11日)

第一次世界大戦の「西部戦線」における激戦地(ソンムの戦い(地図の青)とヴェルダンの戦い(地図の赤))

ヴェルダンの戦い(1916年2月~12月16日):フランス軍362,000人、ドイツ軍336,000人の死傷者を出した。

ソンムの戦い(1916年7月1日~11月19日):第一次世界大戦における最大の会戦。ソンム河畔の戦線において展開された。一連の戦闘でイギリス軍498,000人、フランス軍195,000人、ドイツ軍420,000人という膨大な損害を出した。いずれの側にも決定的な成果がなく、連合国軍がわずかな土地を獲得したにとどまり、ドイツ側は後退を最少におさえた。

1915-1916年の戦い
(出典)File:Western front 1915-16.jpg - Wikimedia Commons

第一次世界大戦における男性兵士たち

ガスマスクを着用し塹壕に隠れるオーストラリア兵。イーペル、1917年。
(出典)https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Australian_infantry_small_box_respirators_Ypres_1917.jpg
ヴェルダン近くの「死人の丘」を攻撃するために塹壕を出るドイツ兵たち(1916年)
※ドイツ軍は「死人の丘(ル=モルトーム)」という台地を何度か奪取したが、すぐに奪い返された。「死人の丘」とその隣の304高地はヴェルダンの戦いで残忍な戦闘が起こったため「ヴェルダンの地獄」(Hölle von Verdun) の象徴とされている。
German soldiers leaving their trenches to attack Dead Man´s Hill (Le Mort Homme) near Verdun.(1916年)
(出典)https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Verdun_15_03_1914_Toter_Mann_296.jpg

第一次世界大戦中における女性たちの戦争協力・動員

イギリスの戦争雑誌に掲載されたポスター「銃後の少女たち」(1915年)
(出典)File:The Girl Behind the Gun 1915.jpg - Wikimedia Commons
Young Women's Christian Association作成の戦時ポスター(1915年)
(出典)File:Affiche-guerre Femmes-au-travail.jpg - Wikimedia Commons

第一次世界大戦中の戦意高揚ポスター

アメリカ国防軍への兵士リクルートポスター(1917年)
※アンクル・サム(United Statesと同じイニシャルを持つ)は、19世紀初頭以来、アメリカ連邦政府または国全般を擬人化したものとして親しまれてきた。
(出典)File:I want you for U.S. Army 3b48465u edit.jpg - Wikimedia Commons

参考文献

男のイメージ―男性性の創造と近代社会 単行本 – 2005/3/1
ジョージ・L. モッセ (著), George L. Mosse (原名), 細谷 実 (翻訳), 海妻 径子 (翻訳), 小玉 亮子 (翻訳)
ジェンダーと社会 -男性史・軍隊・セクシュアリティー (一橋大学大学院社会学研究科先端課題研究叢書 5) 単行本 – 2010/6/21
木本 喜美子 (編集), 貴堂 嘉之 (編集)
軍隊 (近代ヨーロッパの探究) 単行本 – 2009/6/1
阪口 修平 (著), 丸畠 宏太 (著), 佐々木 真 (著), 土肥 恒之 (著), 鈴木 直志 (著), 竹村 厚士 (著), 西願 広望 (著), 横井 勝彦 (著)
男の歴史―市民社会と「男らしさ」の神話 (パルマケイア叢書) 単行本 – 1997/11/1
トーマス キューネ (編集), Thomas K¨uhne (原名), 星乃 治彦 (翻訳)