近代スポーツと女子スポーツの成立

掲載:2024-03-09 執筆:來田享子

本記事は、『<ひと>から問うジェンダーの世界史』第1巻「身体・セクシュアリティ・暴力」(大阪大学出版会、2024年)の関連記事です。

第4章 身体管理と身体表現 5)身体描写と身体表現
③近代スポーツと女子スポーツの成立(來田享子)
◆帝国主義下の近代国家で発展した近代スポーツ ◆女性が近代スポーツを楽しむことに対する制約 ◆特別な領域「女性スポーツ」の生成 ◆近代オリンピックへの道を拓いた女性たち ◆性を峻別する競技会の成立 ◆女子スポーツの権利を守るのは誰か 

国際女子スポーツ連盟(1921年創設)

中京大学スポーツミュージアム所蔵史料

近代オリンピック

近代オリンピック

第1回オリンピック(アテネ)(1896年)
(出典)File:1896 Olympic opening ceremony.jpg - Wikimedia Commons
ベルリン大会(1936年)入場式に参加するヒトラー
オリンポックが国威発揚に利用された
(出典)File:Bundesarchiv Bild 146-1976-033-17, Berlin, Olympische Spiele.jpg - Wikimedia Commons
1964年東京オリンポック決定(読売新聞1959年)
(出典)File:Yomiuri Shimbun newspaper clipping (27 May 1959 issue).jpg - Wikimedia Commons
2020年東京オリンピック(2021年開催)
東京オリンピックの開会式での1824台のドローンショーの様子
(出典)File:Drones durante a abertura das Olimpíadas de Tóquio.jpg - Wikimedia Commons

近代オリンピックへの女性参加

女子ゴルフ(1900年パリ・オリンピック)
女性が初めてオリンピックに参加した(種目はテニスとゴルフ)
(出典)File:Paris 1900 - Golf - Two competitors next to the same hole (cropped).jpg - Wikimedia Commons
女子テニス(1900年パリ・オリンピック)
(出典)File:Tennis women 1900.jpg - Wikimedia Commons

男らしさとアスレティズム

◆男らしさとアスレティシズム 

近代国民国家によって維持され、生産と軍事を柱とした社会の主たる担い手は男性であると考えられ、性別役割分担が進んだ。特に中上流階級の男性のための教育機関では「アスレティシズム」と呼ばれる教育的イデオロギーが重視され、勇気・精力・忍耐・自制・規律・協同等の男らしさを身につけることが強調された。アスレティシズムには、工業化によって都市に人口が集中し、衛生や健康に関する改革が社会の課題となっていたこと、優生学の基盤となったダーウィニズムが成立したことも影響していた。
身体を鍛錬して競い合うという近代スポーツは、こうした時代の男らしさにマッチする文化であった。男らしさを身につける教育的な要素を含む身体活動であり、男らしい男性が楽しむ余暇として、近代化の波とともに広がり、また植民地にも伝播していった。

女子スポーツ

Charlotte Cooper Sterry(女性初のオリンピック優勝者 the first female Olympic tennis champion as well as the first individual female Olympic champion
(出典)File:Hillyard vs sterry at eastbourne.jpg - Wikimedia Commons
全米女子プロ野球リーグ All American Girls Professional Baseball League members(1948年)
(出典)File:All American Girls Professional Baseball League members performing calisthenics.jpg - Wikimedia Commons

参考文献

よくわかるスポーツとジェンダー (やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ) 単行本 – 2018/5/20
飯田貴子 (編集), 熊安貴美江 (編集), 來田享子 (編集)
データでみるスポーツとジェンダー 大型本 – 2016/7/2
日本スポーツとジェンダー学会 (著)

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②「やまとなでしこ」賛美と女性選手(來田享子)