目次
メランコリーと魔女裁判
掲載:2024-03-09 執筆:三成美保
本記事は、『<ひと>から問うジェンダーの世界史』第1巻「身体・セクシュアリティ・暴力」(大阪大学出版会、2024年)の関連記事です。
第4章 身体管理と身体表現 3)「病い」と「障害」
③メランコリーと魔女裁判(三成美保)
(内容)◆魔女裁判 ◆メランコリー ◆体液病理説の衰退 ◆女性像の変化
メランコリア
ルネサンス以後のヨーロッパでは、「メランコリア」(憂鬱質)は芸術・創造の能力の根源をなす気質と位置づけし直され、芸術家や学者の肖像画や寓意画において盛んに描かれた。
魔女
体液病理説
<男性タイプ>
黄胆汁質(胆汁質Choleric)=火星(軍人)
荒々しい性格で熱血漢、短気で行動的、野心も強い。気前がいいが傲慢で、意地悪で気難しい面もある。
多血質(Sanguine)=木星(教養・財産に恵まれた人)
人柄は機嫌よく社交的で、ずうずうしいが気前もいい。娯楽が好きで好色であり、教養とは無縁のタイプ。
<女性タイプ>
黒胆汁質(憂鬱質Melancholic)→メランコリア=「魔女」はこれに該当=土星(犯罪者・身体障害者・貧民など)
寡黙で頑固、孤独癖があり、運動も休養も社交も好まない。強欲で倹約家、利己的で根に持つタイプ。神経質で自殺傾向がある。注意深く明敏、勤勉で、一人で思索に耽ってばかりいる。狂気。
粘液質(Phlegmatic)=金星(学者・芸術家)
精神的に鈍く優柔不断で臆病だが、おだやかで公平、人を騙したりしない。