新規掲載:2016-05-08

【東南アジア史】東南アジア社会とジェンダー

掲載:2016-05-08

双系制下での王位継承(桃木士朗)

「アンコールに都を置いた時代のカンボジア(9世紀~15世紀前半)では、碑文から知られる26人の王(すべて男性)のうち先王の実子や兄弟は8人しかいなかった。マジャパヒトでは2代目の王に男子がなかったため、初代クルタラージャサの妻ラージャパトニー(その長女夫妻と次女夫妻が東西の王宮をそれぞれ管理した)、ラージャパトニーの次女の息子クルタラージャサの順で王位についた。中国から独立した10世紀のベトナムでも、中国式王朝国家の外見にもかかわらず帝位の世襲はほとんどできなかったが、李朝(1010-1225)では未成年の皇帝を母親(皇太后)と外戚が守るかたちで、陳朝(1225-1400)では上皇制と父系の一族内の結婚により外戚権力を排除するかたちで、人工的に父系による帝位継承のしくみが定着させられた(それぞれ日本の平安前期・後期と似ている)。」(桃木士朗)
(出典)『読み替える(世界史編)』57頁から引用

【参考】

○『読み替える(世界史編)』の「3-4.東南アジア社会とジェンダー(桃木至朗)」をご覧ください。以下の項目が記載されています。「多様性と流動性」「宗教・王権とジェンダー」「関連資料」

○東南アジア史のさまざまな論点について、詳しくはこちらを参照してください。
*【教育6】大学世界史教育から考える東南アジア史とジェンダー(桃木 至朗)