8-3.ルネサンス芸術と女性

最終更新2019-12-30(前回更新:2016-01-10) 掲載:2014.09.20 作成:三成美保

ルネサンス期に描かれた女性像

イタリア・ルネサンス

*ジョット・ディ・ボンドーネGiotto di Bondone、1267頃-1337)

『死せるキリストへの哀悼』キリストを抱いているのが聖母マリア。足元の女性がマグダラのマリア。 スクロヴェーニ礼拝堂(1304年と1306年の間)

*フラ・アンジェリコ(1390/95-1455)

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『受胎告知』(1426年頃) プラド美術館(マドリード)

*フィリッポ・リッピ(1406-1469)

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*サンドロ・ボッティチェリ(1445-1510)

メディチ家の御用画家として活躍した。古典寓話やネオ・プラトニズムが反映された作品を描いている。

≪プリマヴェーラ(春の寓意)≫(1478年頃)

プリマヴェーラ(1477年 - 1478年頃、ウフィツィ美術館)

右から春を運ぶ西風の神ゼピュロスが、春の女神クロリスを追う。男神の手が触れると、女神クロリスの口から花がこぼれ、草花が大地を覆う。クロリスは花の女神フロラ(花模様の衣をまとっている)に変身する。
左では、若い商業の神メルクリウスがツエで金色の雲を払う。その右となりで3美神が舞っている。真ん中の美神が「貞節」の女神。画面中央には女神ヴィーナスがたたずむ。ヴィーナスは、母性を象徴する古代の女神であるが、聖母マリアのイメージが重ねられているという。ヴィーナスの頭上で、キューピッドが「貞節」の女神をめざして矢をつがえている。(『週刊朝日百科:世界の美術』42、1979年)

≪ヴィーナスの誕生≫(1486年頃)

海の泡から生まれたヴィーナスは、大きな貝殻に乗っている。画面左の風の神たちは相擁しながら、ヴィーナスをなぎさへと吹き寄せる。水辺では、季節の女神が衣をかざしてヴィーナスを待ち受ける。(『週刊朝日百科:世界の美術』42、1979年)

描かれたものが意味するもの(中野京子(2012)『怖い絵ー史と乙女篇』角川文庫、20-21ページ)

  • 貝殻は女性器をあらわす(「生殖」と「豊穣」を意味する)。
  • 左下のガマの穂は「再生」と「多産」を意味する。
  • 右上のオリーブの樹は「平和」の象徴である。
  • 左の男性は西風の神ゼフェロス
  • その横の女性はゼフェロスの妻で花の女神フローラ
  • フローラの回りの薔薇は「愛」と「歓喜」をあらわす。
  • 右手の岸辺にいるのは、「季節」の擬人化である精霊ホーラ(イエスに洗礼をほどこすヨハネと同じ動作)。
  • ホーラの足下の花アネモネは「はかなさ」のシンボル。
≪カルンニア(誹謗)≫(1494-95頃)

右壇上に、ロバの耳をしたミダス王(「不正」)がいる。その耳元でうるさく告げ口をしている女たちが「無知」と「猜疑」。ミダス王に手を伸ばす黒衣のやせた狂気の男(「嫉妬」)。彼の後ろにはたいまつをもつ青衣の女(「誹謗」)。「誹謗」は、彼女の乱れ髪をつくろう二人の女(「策謀」「欺瞞」)にかしすかれて、哀願している青年の髪を引っ張っている。左には、不気味な老女(「後悔」)が、天を指さす裸体の女神(「真理」)を憎らしげに見ている。(『週刊朝日百科:世界の美術』42、1979年)
人間の愚かしさを寓意的に描いたこの絵で、多くの悪徳が女性像で描かれていることに留意すべきである。

*レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)

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*ミケランジェロ(1475-1564)

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*ラファエロ(1483-1520)

ティツィアーノ・ヴェチェッリオTiziano Vecellio、1488/90- 1576


『ウルビーノのヴィーナス』(1538年頃)


『洗礼者ヨハネの首を持つサロメ』(1515年頃)

フランドル

*ヤン・ファン=アイク(弟)(1395頃-1441)

*ピーテル・ブリューゲル(ブリューゲル(父))(1525/30-1569)

ブリューゲル(父)は、多くの人文主義者を友人にもつ知識人画家であった。50点近い油彩画のほとんどに農民を登場させている。農民に扮装して、彼らの縁日や結婚式に出かけていったとされる(カレル・ヴァン・マンデル『画家伝』1604年)。(『週刊朝日百科:世界の美術』51、1979年)

≪悪女フリート(デュレ・フリート)≫(1562年)
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悪女フリート(1562年)

「デュレ」とは「悪意のある、怒りっぽい」を意味し、「フリート」は「マルガレーテ」の愛称形である。
この絵については、いくつかの解釈がある。①武力による略奪(スペインによるネーデルラントの略奪)、②道徳悪(虚栄、貪欲、憤怒、邪淫など)、③錬金術、④女性嫌悪の表現(台所用品を武器にして猛女が地獄の入り口に向かって突進していく=悪魔を征服するほどの男勝りでケンカ好きな女のイメージ)である。1568年の『諺集』(F.F.フートハルス)にはこうある。「女はひとりでも騒々しく、ふたりでは多くのトラブルを起こし、3人寄れば大祭り、4人で喧嘩、5人そろえば軍隊をつくり、6人に対して悪魔も多々会う武器を知らない。」(『週刊朝日百科:世界の美術』51、1979年、4-5,4-6)

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農民の結婚式(1568年頃)

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農民の踊り(1568年頃)

ドイツ・ルネサンス

*アルプレヒト・デューラー(1471-1528)

母の肖像(1514) Bildnis der Mutter, 1514, Kohlezeichnung, 421 x 303 mm, Kupferstichkabinett Berlin

Feldhase (1502), gouachiertes Aquarell auf Papier, Albertina, Wien

Ritter, Tod und Teufel (Albrecht Dürer)

「騎士と死と悪魔」(1513) Ritter, Tod und Teufel Albrecht Dürer, 1513 Kupferstich, 24,6 × 19 cm

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*ルーカス・クラナッハ(父)(1472-1553)

ユディト (1530年) ウィーン美術史美術館

ヴィーナス (1532年) シュテーデル美術館

Cranach_-_Adam_and_Eve_1528→8-3.ルネサンス芸術と女性(『読み替える(世界史)』8-3(香川檀)

*【女性】アルテミジア・ジェンティレスキの絵画(三成美保)