古代ローマ法(共和政期~古典期)

掲載:2019-12-31 執筆:三成美保

ローマ法のポイント

①ローマ法の中心は「私法」である(権利の法)。

(比較)中国律令法の中心は「公法(律=刑事法・令=行政法)」である。

②ローマ法の形成には「法学者」が深く関わった。

(比較)ゲルマン社会には「法学者」は存在しなかった。前近代日本にも「法学者」は存在しなかった(奉行は行政職で、現在の知事のような職)。

③「ローマ法学の復活」が大学法学部を生み出した。

(比較)ローマ法を継受したヨーロッパ大陸諸国家(ドイツやフランスなど)では法学部(ローマ法学を研究する場=学究的)が発展し、ローマ法を継受しなかったイングランドでは法曹学院(先輩弁護士が弟子たちを集団で訓練する場=実務的)が発展した。

女性と法学

エミリー・ケンピン=シュピーリ

19世紀になるまで、女性は法学者になれなかった(大学法学部にも法曹学院にも入れない)。

ヨーロッパで女性がはじめて「法学博士」となったのは、1887年、エミリー・ケンピン=シュピーリが初であった(チューリヒ大学)。

https://de.wikipedia.org/wiki/Emilie_Kempin-Spyri

(参考)屋敷二郎「エミリー・ケンピン=シュピーリと世紀末チューリヒの女性問題 :『女性の権利 (Frauenrecht) 』 紙から」『法學研究 : 法律・政治・社会 』(慶應義塾大学法学研究会)Vol.82, No.1 (2009. 1) ,p.941- 961 https://core.ac.uk/download/pdf/145778815.pdf