【史料】ザクセン選帝侯国ラント法(1666年)

掲載:2014–1-2 執筆:三成美保

【解説】

婚前交渉が「姦淫罪」として処罰されるようになったのは、ドイツでは17世紀以降である。姦通罪は罪が重く、いわゆる「不倫」には容赦がなかった。こうした性風俗犯罪は、たとえば、17世紀前半のミュンヘンでは、全犯罪の3割にも上った。(三成『ジェンダーの法史学』90頁)

史料

「一 婚約者同士に婚前交渉があった場合は妊娠の有無にかかわらず、結婚式には頭をおおい、鐘を打ち鳴らすことなく教会へ行かねばならない。また、両名とも一時入牢、もしくはそのつど適宜処罰される。結婚後に婚前交渉の事実が判明したときも適宜入牢の罰を受ける。

二 すでに婚約している女と肉体関係が生じたときは、両名とも笞刑のうえ国外追放、それでもなお許婚の男がその女との結婚を望む場合、女は入牢刑、関係した男は笞刑のうえ追放処分とする。――すでに婚約している男が他の未婚女性と関係したとき、その男の許婚が許さない場合、男は笞刑、相手の女は追放。

三 人妻と肉体関係が生じたときは両名とも斬首、妻帯者が未婚女性と関係すれば、男は斬首、女は笞刑のうえ追放。

五 既婚者同士の姦通は両名とも斬首。

六、七 強姦罪は斬首。被害者が12歳未満の処女の場合、笞刑のうえ永久追放。

八、九、十 強姦された女性は告発すること。さもなければ、その女は淫行を隠した罪を問われ、晒し台で晒されたのち永久追放。

一六 売春を禁ずる。禁を破った者は入牢・晒しのうえ、太鼓追放に処する。」

(出典)ビルクナー『子殺し』293-294頁)