法律第二百十六号(昭二四・六・二四) 優生保護法の一部を改正する法律
優生保護法(昭和二十三年法律第百五十六号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第一号中「遺伝性精神変質症、遺伝性病的性格」を「遺伝性精神病質」に改め、同項第二号中「遺伝性精神変質症、遺伝性病的性格」を「遺伝性精神病質」に、「有し、且つ、子孫にこれが遺伝する虞れのあるもの」を「有しているもの」に改める。
第四条中「前条の同意を得なくとも、」を削り、「申請することができる。」を「申請しなければならない。」に改める。
≪ポイント≫「経済的理由」の追加(ただし意見書が必要=自由に中絶はできない)
第十三条第一項中第一号から第三号までを次のように改め、第四号を第三号とする。
一 本人又は配偶者が精神病又は精神薄弱であるもの
二 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害する虞れのあるもの
同条第二項を次のように改める。
2 前項の申請には、同項第一号の場合にあつては他の医師の意見書を、同項第二号の場合にあつては身体的理由によるときは他の医師の、経済的理由によるときは他の医師及び民生委員の意見書を、同項第三号の場合にあつては民生委員の意見書を添えることを要する。
同条第三項を次のように改める。
3 第一項の同意には、第三条第二項の規定を準用する。
4 本人が心神喪失の状態にあるため、その意思を表示することができない場合において、親権者、後見人又は保佐人があるときは、親権者、後見人又は保佐人の、親権者、後見人又は保佐人がないときは、親族の同意をもつて本人の同意に代えることができ、そのいずれもないときは、本人の同意を必要としない。
第二十条を次のように改める。
(優生結婚相談所)第二十条 優生保護の見地から結婚の相談に応じ遺伝その他優生保護上必要な知識の普及向上を図るとともに、受胎調節に関する適正な方法の普及指導をするため、優生結婚相談所を設置する。
第二十八条中「優生手術」を「生殖を不能にすることを目的として手術又はレントゲン照射」に改める。
第三十三条中「違反して、優生手術を行つた者」を「違反した者」に改める。
別表を次のように改める。
別表
一 遺伝性精神病
精神分裂病
そううつ病
てんかん
二 遺伝性精神薄弱
三 顕著な遺伝性精神病質
顕著な性欲異常
顕著な犯罪傾向
四 顕著な遺伝性身体疾患
ハンチントン氏舞踏病
遺伝性脊髄性運動失調症
遺伝性小脳性運動失調症
神経性進行性筋い縮症
進行性筋性筋栄養障がい症
筋緊張病
先天性筋緊張消失症
先天性軟骨発育障がい
白児
魚りんせん
多発性軟性神経繊維しゆ
結節性硬化症
先天性表皮水ほう症
先天性ポルフイリン尿症
先天性手掌足しよ角化症
遺伝性視神経い縮
網膜色素変性
全色盲
先天性眼球震とう
青色きよう膜
遺伝性の難聴又はつんぼ
血友病
五 強度な遺伝性奇型
裂手、裂足
先天性骨欠損症
第一次改正法律附則 この法律は、公布の日から施行する。
(厚生・内閣総理大臣署名)
(出所)衆議院 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/00519490624216.htm
(注)赤字・黄色マーカー等は三成による。
関連ページ
*【法学8】(法律)優生保護法(1948-1996)(ハンセン病問題)(三成美保)
1948年条文(全文)→*【史料】優生保護法(1948~1996年)
1949年改正(経済的理由の追加)→*【史料】優生保護法の一部を改正する法律(1949年)
1952年改正(中絶に審査が不要となる)→*【史料】優生保護法の一部を改正する法律(1952年)