法律第百四十一号(昭二七・五・一七)優生保護法の一部を改正する法律

優生保護法(昭和二十三年法律第百五十六号)の一部を次のように改正する。

第三条の見出しを「(医師の認定による優生手術)」に改め、同条第一項中「任意に、」を削り、同項第一号を次のように改める。

一 本人若しくは配偶者が遺伝性精神病質、遺伝性身体疾患若しくは遺伝性奇型を有し、又は配偶者が精神病若しくは精神薄弱を有しているもの

同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。

2 前項第四号及び第五号に掲げる場合には、その配偶者についても同項の規定による優生手術を行うことができる。

第四条の見出しを「(審査を要件とする優生手術の申請)」に改める。

≪1952年改正の最重要箇所≫

第十三条及び第十四条を削り、第十二条を次のように改める。

(医師の認定による人工妊娠中絶)第十四条 都道府県の区域を単位として設立された社団法人たる医師会の指定する医師(以下指定医師という。)は、左の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。

一 本人又は配偶者が精神病、精神薄弱、精神病質、遺伝性身体疾患又は遺伝性奇型を有しているもの

二 本人又は配偶者の四親等以内の血族関係にある者が遺伝性精神病、遺伝性精神薄弱、遺伝性精神病質、遺伝性身体疾患又は遺伝性奇型を有しているもの

三 本人又は配偶者が癩疾患に罹つているもの

四 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの

五 暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの

2 前項の同意は、配偶者が知れないとき若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者がなくなつたときには本人の同意だけで足りる。

3 人工妊娠中絶の手術を受ける本人が精神病者又は精神薄弱者であるときは、精神衛生法第二十条(後見人、配偶者、親権を行う者又は扶養義務者が保護義務者となる場合)又は同法第二十一条(市町村長が保護義務者となる場合)に規定する保護義務者の同意をもつて本人の同意とみなすことができる。

第十一条の次に次の二条を加える。

(精神病者等に対する優生手術)第十二条 医師は、別表第一号又は第二号に掲げる遺伝性のもの以外の精神病又は精神薄弱に罹つている者について、精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)第二十条(後見人、配偶者、親権を行う者又は扶養義務者が保護義務者となる場合)又は同法第二十一条(市町村長が保護義務者となる場合)に規定する保護義務者の同意があつた場合には、都道府県優生保護審査会に優生手術を行うことの適否に関する審査を申請することができる。

第十三条 都道府県優生保護審査会は、前条の規定による申請を受けたときは、本人が同条に規定する精神病又は精神薄弱に罹つているかどうか及び優生手術を行うことが本人保護のために必要であるかどうかを審査の上、優生手術を行うことの適否を決定して、その結果を、申請者及び前条の同意者に通知する。

2 医師は、前項の規定により優生手術を行うことが適当である旨の決定があつたときは、優生手術を行うことができる。

第十五条を次のように改める。

(受胎調節の実地指導)第十五条 女子に対して厚生大臣が指定する避妊用の器具を使用する受胎調節の実地指導は、医師の外は、都道府県知事の指定を受けた者でなければ業として行つてはならない。但し、子宮腔内に避妊用の器具をそう入する行為は、医師でなければ業として行つてはならない。

2 前項の都道府県知事の指定を受けることができる者は、厚生大臣の定める基準に従つて都道府県知事の認定する講習を終了した助産婦、保健婦又は看護婦とする。

第十六条中「及び人工妊娠中絶」を削る。

第十七条第一項中「、都道府県優生保護審査会及び地区優生保護審査会」を「及び都道府県優生保護審査会」に改め、同条第四項を削る。

第十八条第一項中「地区優生保護審査会は委員五人以内で、」を削り、同条第三項中「及び地区優生保護審査会」を削り、同条に次の一項を加える。

5 都道府県優生保護審査会の委員の報酬及び費用弁償については、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百三条(報酬及び費用弁償)の規定を準用する。

第五章の章名を「優生保護相談所」に改める。

第二十条中「優生結婚相談所」を「優生保護相談所」に改める。

第二十一条を次のように改める。

(設置)第二十一条 都道府県及び保健所を設置する市は、優生保護相談所を設置しなければならない。

2 前項の優生保護相談所は、保健所に附置することができる。

3 都道府県及び保健所を設置する市は、優生保護相談所を設置しようとするときは、あらかじめ厚生大臣の承認を受けなければならない。

4 国は、第一項の優生保護相談所の設置及び運営に要する費用について、政令の定めるところにより、その経費の一部を補助することができる。

第二十二条第一項中「国以外の者は、優生結婚相談所」を「国、都道府県及び保健所を設置する市以外の者は、優生保護相談所」に、同条第二項中「優生結婚相談所」を「優生保護相談所」に改める。

第二十三条中「この法律による優生結婚相談所」を「この法律による優生保護相談所」に、「優生結婚相談所たることを示す文字」を「優生保護相談所という文字又はこれに類似する文字」に改める。

第二十四条中「優生結婚相談所」を「優生保護相談所」に改める。

第二十五条中「又は第十五条」を「、第十三条第二項又は第十四条第一項」に、「その日から三日以内に、その旨を、」を「その月中の手術の結果を取りまとめて翌月十日までに、」に改める。

第二十七条中「優生手術若しくは人工妊娠中絶の審査若しくは施行の事務に従事した公務員又は優生結婚相談所」を「優生手術の審査若しくは施行の事務又は人工妊娠中絶の施行の事務に従事した者及び優生保護相談所」に改める。

第二十九条中「優生結婚相談所」を「優生保護相談所」に、「五千円」を「五万円」に改める。

第三十条中「優生結婚相談所たることを示す名称を用いた者」を「優生保護相談所という文字又はこれに類似する文字を名称として用いた者」に、「千円」を「一万円」に改める。

第三十二条中「二万円」を「五万円」に改める。

第三十三条中「五万円」を「十万円」に改める。

第二十九条を第三十条とし、以下第三十七条まで順次一条ずつ繰り下げ、第三十条の前に次の一条を加える。

(第十五条第一項違反)第二十九条 第十五条第一項の規定に違反した者は、十万円以下の罰金に処する。

附 則

1 この法律は、公布の日から起算して十日を経過した日から施行する。

2 この法律施行の際、都道府県及び保健所を設置する市が設置している優生結婚相談所は、改正後の第二十一条第三項(厚生大臣の設置についての承認)の規定による承認を受けて設置した優生保護相談所とみなす。

3 改正前の第二十二条(優生結婚相談所設置の認可)の規定による優生結婚相談所の設置の認可は、改正後の第二十二条(優生保護相談所の設置の認可)の規定による優生保護相談所の設置の認可とみなす。

4 この法律施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

5 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。

第五条第二十号を次のように改める。

二十 優生保護相談所の設置を承認し又は認可し、及び優生保護相談所に関する基準を定めること。

(厚生・内閣総理大臣署名)

(出所)衆議院http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/01319520517141.htm

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