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15-5.ソ連・東欧の社会主義体制崩壊とジェンダー
掲載:2016-04-24 作成:三成美保
【年表】1985年以降のソ連・ロシア・東欧諸国
1985 ゴルバチョフがソ連共産党書記長に就任
→「ペレストロイカ(建て直し=政治改革)」+「グラスノスチ(情報公開)」+「新思考外交(冷戦終結)」
1986 ソ連、チェルノブイリ原発事故
→【年表4】原子力発電所建設との闘い―立地反対運動と原発訴訟(富永智津子)
1987 中距離核戦力全廃条約
1989.02 ソ連、アフガニスタン撤退完了
東欧革命
1989.06 ポーランド選挙で「連帯」圧勝(ワレサ大統領就任)
1989.12 ルーマニアでチャウチェスク政権崩壊(ルーマニア革命)
1989.12 チェコのビロード革命(ハヴェル大統領就任)=暴力をともなわずにソフトに革命が達成されたため「ビロード革命」とよぶ。
1989.11 ベルリンの壁崩壊
1989.12 マルタ会談(冷戦終結宣言)
1990.05 ユーゴで共産党解散
1990.10 ドイツ統一
1991.06 クロアティア、スロヴェニアが独立宣言→ユーゴ、内戦に突入
1991.12 ソ連邦解体、大統領はエリツィン
1992 ボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争
※「民族浄化(ジェノサイト)」の一環として、レイプ・強制妊娠など、女性に対してすさまじい性暴力がふるわれた。これらの性暴力は、1993年以降の旧ユーゴ国際刑事法廷で裁かれている。
1993 チェコとスロヴァキアの分離(暴力を伴わずに分離が達成された)
1993 旧ユーゴ国際刑事法廷のはじまり→1998年の国際刑事裁判所(ICC)の実現につながる。
※国際刑事裁判所規程(ICC規程:1998年)は、国際条約としてはじめて「ジェンダー」という語を用い、性暴力を「人道に対する罪」の一つとして定義した。また、裁判官など司法関係者のジェンダー・バランスへの配慮やジェンダーに関する知識等の必要性を明記した。
1994.12 ロシアがチェチェン侵攻
1998.02 コソヴォ紛争(~1999.06)→2008 コソヴォ独立
【1998コソヴォ紛争→2008コソヴォ独立→2011女性大統領誕生】
コソヴォはセルビアの自治州。人口180万のうち、アルバニア人(イスラーム教が中心)が90%、セルビア人(セルビア正教会が中心)が10%であった(独立を抑えるための一時的入植でセルビア人比率が増えた)。アルバニア人が独立を目指して、セルビア人と対立し、内戦が激化した。アルバニア人への大量虐殺が行われ、85万人のアルバニア人(人口比47%)が難民となった。これに対する制裁として、NATO軍がセルビア空爆を実施。1999年に和平が実現し、2008年にコソヴォは独立した。20万人のセルビア人が難民として国外脱出した。しかし、コソヴォを独立国家として承認していない国も少なくない(2015年8月現在で、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本など111カ国はコソヴォを国家として承認)。
●写真は、コソヴォ共和国第4代大統領(コソヴォ初の女性大統領)Atifete Jahjaga(1975生まれ、2011年大統領就任)
彼女のリーダーシップのもと、2012年以降、女性の地位改善や女性に対する暴力防止策などが積極的に進められている。
2000 ロシア、プーチン大統領就任
⇒*【法学8】(比較)ポーランドの妊娠中絶と憲法改正(小森田秋夫)
2013 ロシアで「同性愛宣伝禁止法」が成立(同法は保守派への政治的配慮として成立。これにより、ロシアの同性愛者は権利運動を展開できなくなった)
→【特集3-2】同性婚をめぐる国際的・国内的動向(三成美保)
【地図】
●ソビエト連邦
ソビエト社会主義共和国連邦は、十月革命によって成立したロシア・ソビエト連邦社会主義共和国を前身とした国家。1922年に成立し、1991年に解体消滅した。