目次
15-4.変化する台湾社会のジェンダー秩序
2015.02.03更新 執筆:三成美保
●急速に進む台湾のジェンダー主流化
台湾では、戒厳令解除(1987年)、民主化政策開始(1988年)以降、女性の権利保障も大きく進展した。ジェンダー平等の関連法も相次いで制定されている(下記年表参照)。
台湾は国連加盟国でないため、ジェンダー・ギャップ指数は公表されていないが、計算式にあてはめると、世界39位相当(2012年)であった。また、2012年の立法委員選挙では、女性の国会議員比率は33.9%であった(野村鮎子「変化する台湾社会のジェンダー秩序」『歴史を読み替えるージェンダーから見た世界史』2014年、283頁)。
【参考文献】
陳惠しん「台湾におけるジェンダー平等教育法の制定と発展」『ジェンダーと法』第10号、2013年、53-65頁
●略年表(台湾)
1624~1662 オランダ植民地時代
1662~1683 鄭氏政権時代(鄭成功とその一族)
1683~1895 清朝統治時代
1895~1945 日本統治時代(1896 台湾総督府)
1945~1949 南京国民政府
1949 中華人民共和国の成立/中華民国(台湾)国民政府(蒋介石)
1971 国連追放
1988 李登輝が総統に就任→民主化進展
1996 民主共和制に移行→台湾総統民選時代
≪ジェンダー平等に向けた取り組みの開始≫
1996 民法改正(親族編の父権・夫権優先条項の改正)
1997 性暴力防止法
1998 DV防止法
2001 両性工作平等法(のちジェンダー工作平等法に改称)=男女平等の労働法
2003 婦女政策綱領(2012年にジェンダー政策綱領に改称)の制定=ジェンダー主流化推進の本格化
2004 ジェンダー平等教育法
2005 セクハラ防止法
2007 女性差別撤廃条約を批准
●台湾先住民族(「台湾原住民族」)
台湾政府は、14民族を「台湾原住民族」として認定している。
●宋家三姉妹
宋家三姉妹:父は孫文の支援者であった浙江財閥の宋嘉樹。
- 長女:宋 靄齢(そう あいれい:1889ー1973):財閥で国民政府財政部長を務めた孔祥熙の妻。
- 次女:宋慶齢(そう けいれい:1893ー1981):孫文の妻。中華人民共和国副主席をつとめた。
- 三女:宋美齢(そう びれい:1897ー2003):蒋介石の妻