目次
法書:ザクセンシュピーゲル
(執筆:三成美保/初出『法制史入門』)
解説
●法書
13世紀には、いくつかの法書が書かれた。法書は、法慣習を包括的に記録するために書かれた私人の作品である。その最古のもので、他の法書のモデルとされたのが「ザクセンシュピーゲル」である。著者のアイケ・フォン・レプゴウは、東ザクセンの騎士であり、周辺地域の諸侯の顧問官をつとめていた。かれは、法律家ではなかったが、法鑑定人としての活動により、当時の法生活に通じていた。アイケが、封主ホイエル伯の願いにより、ラテン語草稿を中世低地ドイツ語に翻訳して、ザクセンシュピーゲルが完成した。
●ザクセンシュピーゲル
ザクセンシュピーゲルは、序文(韻文序文と三つの散文序文)、ラント法、レーエン法からなる。ラント法はのち3巻に分けられた。目的は、ザクセンの部族法を「写し出す」ことにおかれ、私法、刑法、訴訟法、国家法があつかわれている。
ザクセンシュピーゲルは、私撰の法書であったにもかかわらず、中世後期には、公の法典としての効力をもつにいたった。とくに東ドイツ、北ドイツに広く普及し、1900年の民法典施行まで、普通ザクセン法の法源として適用された。その重要性を反映して、約200の完全な手書本が伝わるほど、おびただしい手書本がつくられている。13世紀後半には、ザクセンシュピーゲルの高地ドイツ語版ともいうべき「ドイッチェンシュピーゲル」、南ドイツ法を記述した「シュヴァーベンシュピーゲル」が編纂された。
史料
●絵解き本(全文) Heidelberger Sachsenspiegel(Ostmitteldeutschland, Anfang 14. Jh.)
→http://diglit.ub.uni-heidelberg.de/diglit/cpg164(ハイデルベルク大学提供デジタル史料)
●久保正幡訳『ザクセンシュピーゲル・ラント法』創文社
史料(抜粋)ージェンダーに関連する記述
(準備中)
関連項目
⇒*【法制史】封建法・レーエン法(三成美保)