ジェンダー平等[英]gender equality

掲載:2016-05-05 執筆:三成美保

(1)ジェンダー平等

「ジェンダー平等」とは、「性別にとらわれることのない平等」を意味する。おもに「男女平等」をさすが、それだけにとどまらず、LGBTIの人たちを含めた「人間の平等」をあらわす。国連をはじめ、国際社会ではひんぱんに使われる用語である。日本政府の用語としては、「男女共同参画」が「ジェンダー平等」に相当する。

(2)国際文書における「ジェンダー平等」

【史料❶】「ジェンダー平等」(2005年世界サミットの成果文書、2005年)
「59. 我々は、ジェンダー平等を実現するためのツールとしてジェンダー主流化の重要性を認識する。この目的のために、我々は、政治、経済、社会のあらゆる分野における政策及びプログラムの企画、実施、モニタリング、評価において、ジェンダーの視点の主流化を積極的に推進することを約束し、さらに、ジェンダー分野において国連システムの対応能力を強化することを約束する。」http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko /unsokai/pdfs/050916_seika.pdf)
【史料❷】「我々の世界を変革するー持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」(2015年9月25日)
アジェンダ(18~38)

20.(ジェンダー) ジェンダー平等の 実現と女性・女児の能力強化は、すべての目標とターゲットにおける進展において死活的に重要な貢献をするものである。人類の潜在力の開花と持続可能な開発 の達成は、人類の半数に上る(女性)の権利と機会が否定されている間は達成することができない。女性と女児は、質の高い教育、経済的資源への公平なアクセ ス、また、あらゆるレベルでの政治参加、雇用、リーダーシップ、意思決定において男性と同等の機会を享受するべきである。我々は、ジェンダー・ギャップを縮めるための投資を顕著に増加するために努力するとともに国、地域及びグローバルの各レベルにおいてジェンダー平等と女性の能力強化を推進する組織への支援を強化する。女性と女児に対するあらゆる形態の暴力は男性及び男子の参加も得てこれを廃絶していく。新たなアジェンダの実施において、ジェンダーの視点をシステマティックに主流化していくことは不可欠である。

(出典)「2030アジェンダ」(英文:外務省) http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000101401.pdf

同(日本語訳:外務省仮訳) http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000101402.pdf

【解説】2015 年9月の第70回国連総会で、「我々の世界を変革するー持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」(以下、「2030アジェンダ」)が採択された。前文は、「このアジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画である」とはじまる。設定 された 17 の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」と 169 のターゲットは、「ミレニアム開発目標(MDGs)を基にして、ミレニアム開発目標が達成できなかったものを全うすることを目指すものである。同文書で は、「3.取り組むべき課題」で「人権を保護しジェンダー平等と女性・女児の能力強化を進めること」が課題の一つと明示された。「われわれのビジョン」で は、「すべての女性と女児が完全なジェンダー平等を享受し、その能力強化を阻む法的、社会的、経済的な障害が取り除かれる世界」が「目指すべき世界像」に 盛り込まれた。しかし、「ジェンダー平等は依然として鍵となる課題である」(14.直面する課題)ため、「新アジェンダ」では、「ジェンダー」が独立項目 として設定された(「20.ジェンダー」)。上記史料は、「20.ジェンダー」の全文である。