目次
2016.05.21公開シンポジウム:教育におけるLGBTIの権利保障―現状と課題(学術会議)
掲載:2016-05-22 作成:三成美保
(1)「LGBTI」という用語について
【解説】2015年9月国連12機関の共同声明「LGBTIに対する暴力・差別の撤廃」
「LGBTI」という用語に関して、ILOを含む12の国連機関(ILO, OHCHR, UNHCR, UNAIDS, UNDP, UNESCO, UNFPA, UNICEF, UNODC, UNWOMEN, WFP, WHO)が発表した共同声明(2015年9月29日)では、次のように書かれています。
Ending violence and discrimination against Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender and Intersex people
All people have an equal right to live free from violence, persecution, discrimination and stigma. International human rights law establishes legal obligations on States to ensure that every person, without distinction, can enjoy these rights. While welcoming increasing efforts in many countries to protect the rights of LGBTI1 people, we remain seriously concerned that around the world, millions of LGBTI individuals, those perceived as LGBTI and their families face widespread human rights violations. This is cause for alarm – and action.(以下略)
1 While this statement refers to lesbian, gay, bisexual, transgender and intersex people, it should also be read to refer to other people who face violence and discrimination on the basis of their actual or perceived sexual orientation, gender identity and sex characteristics, including those who may identify with other terms.
(【仮訳】注1:本声明は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックスの人びとに関わるものであるが、彼ら以外にも、これらとは異なる用語で自己をアイデンティファイする人びとを含め、実際にそうであるか、そうみなされているかを問わず、性的指向やジェンダー・アイデンティティまたは性の特徴にもとづいて暴力や差別にさらされている人びとにも関わるものとして読まれるべきである。)「LGBTIの人々に対する暴力と差別の根絶を12国連機関が共同で呼びかけ」
日本語記事はこちら→http://www.ilo.org/tokyo/information/pr/WCMS_423163/lang--ja/index.htm
(2)公開シンポジウムの関連資料紹介
2016年5月21日(土)に日本学術会議講堂で開催された公開シンポジウムにはたくさんのご来場をありがとうございました(本研究会も共催団体となっております)。
当日の報告・コメントに関して、既に公表されている資料の紹介や関連WEBページへのリンクを示します。
次回のLGBTI分科会の公開シンポジウム「雇用と労働」は、2016年12月頃を予定しています。詳細が決まったら、本サイトでもご案内します。ご参加をお待ちしています。
プログラム
開会挨拶
三成美保(日本学術会議第一部会員、奈良女子大学副学長)
○上記(1)について説明。
趣旨説明
戒能民江(日本学術会議連携会員、お茶の水女子大学名誉教授)
報告
報告1「アメリカの大学におけるLGBTの権利保障」
高橋裕子(日本学術会議連携会員、津田塾大学学長)
○アメリカのLGBTQ大学ランキング Best Colleges for LGBTQ Students
→http://www.bestcolleges.com/features/best-colleges-for-lgbt-students/
報告2「日本の大学における性的少数者に関する調査結果」
隠岐さや香(日本学術会議連携会員、名古屋大学大学院経済学研究科教授)
○「平成26年度ジェンダー問題調査・研究支援事業報告書、性的マイノリティの学生支援における課題」(北九州市立男女共同参画センタームーブ)
→http://kitakyu-move.jp/tosyo/818.html
(内容)全国の大学(国立、公立、私立、短期大学)テーマを対象に、性的マイノリティの学生への支援状況を調査し、サポート体制が整備されている大学へのヒアリン グを行うことによって、性的マイノリティの学生に対する支援の現状と、支援が進まない理由を明らかにし、修学環境が整備されることの必要性と支援方法を提言しています。
報告3「LGBTI当事者のケアに向けた学校と医療施設との連携」
中塚幹也(岡山大学大学院保健学研究科教授、岡山大学ジェンダークリニック医師)
○GID (性同一性障害) 学会 Japanese Society of Gender Identity Disorder
〒700-8558 岡山市北区鹿田町2-5-1
岡山大学大学院保健学研究科 中塚研究室
GID学会事務局
e-mail: jsgid◎cc.okayama-u.ac.jp
(◎を@に修正してご使用ください.)
○中塚幹也「「性同一性障害」を性教育で取りあげる 」『現代性教育研究ジャーナル』(日本性教育協会)29号、2013年
→http://www.jase.faje.or.jp/jigyo/journal/seikyoiku_journal_201308.pdf
報告4「生徒による取組の紹介ー丹原東中学校の実践から」
岸田英之(愛媛県西条市立丹原東中学校校長)
○丹原東中学校の公式サイト→http://tambarahigashi-j.esnet.ed.jp/
○レインボウプライド愛媛→http://rainbowpride-ehime.org/Site/index.html
コメント
コメント1「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について」(文部科学省)
鈴木文孝(文部科学省初等中等教育局児童生徒課課長補佐)
○「学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査」(文部科学省平成26年6月13日)
○文部科学省通知「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」(平成27年4月30日)
→http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/27/04/1357468.htm
○文部科学省「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について(教職員向け)周知資料」(平成28年4月)
→http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/04/__icsFiles/afieldfile/2016/04/01/1369211_01.pdf
コメント2「自治体行政の総合的視点からー教員採用試験適性検査の見直しの必要性を中心に」
岩本健良(金沢大学人文学類准教授)
○岩本健良「1. 教員・公務員採用試験適性検査における人権と司法・心理学 : 心理テストMMPIへの異議申し立てをめぐって(III-9部会 教育と差別・人権,研究発表III)」日本教育社会学会大会発表要旨集録
コメント3 「多様な性をもつ子どもについて考える立場から」
藥師実芳(NPO法人ReBit代表理事)
○NPO法人ReBitのWebサイト→http://rebitlgbt.org/
コメント4「教育方法論の立場から」
渡辺大輔(埼玉大学基盤教育研究センター准教授)
○日本学術会議提言「18歳を市民に-市民性の涵養をめざす高等学校公民科の改革―」(2016年5月16日)
総合討論
司会:戒能民江(日本学術会議連携会員、お茶の水女子大学名誉教授)・紙谷雅子(日本学術会議連携会員、学習院大学法学部教授)
閉会挨拶
二宮周平(日本学術会議連携会員、立命館大学法学部教授)
総合司会:長志珠絵(日本学術会議連携会員、神戸大学大学院国際文化学研究科教授)
主催・共催
- 主催:日本学術会議法学委員会「社会と教育におけるLGBTIの権利保障」分科会
- 共催:ジェンダー法学会・日本ジェンダー学会・ジェンダー史学会
科研費基盤研究(A)「ジェンダー視点に立つ『新しい世界史』の構想と『市民教養』としての 構築・発信」(代表:三成美保) - 会場:日本学術会議講堂(東京都港区六本木7-22ー34):地下鉄千代田線乃木坂駅下車すぐ