【プログラム】ジェンダー法学会第12回学術大会  

2014ジェンダー法学会(ポスター)修正版

2014ジェンダー法学会(ポスター)(クリックすると拡大)

12.5(金)夕刻 プレ企画「ひとり親家庭への支援と課題」 12.6(土)午後 シンポジウム「ケアとジェンダー」 12.7(日)午後 シンポジウム「貧困からの脱却とジェンダー」
主催:ジェンダー法学会
共催:奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センター
一般参加を歓迎します。
≪参加費≫
一般参加:プレ企画参加費無料、大会2日間通して参加費1000円(学部学生以下500円)
会員および奈良女子大学関係者:参加費無料

●概要

(1)開催場所:国立大学法人・奈良女子大学(〒630−8506奈良県奈良市北魚屋東町) 生活環境学部会議室・S235教室(文学系S棟2F) 近鉄奈良駅1番出口より徒歩5分 → http://www.nara-wu.ac.jp/map/accessmap.html
(2)問い合わせ先(学会開催校)奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センター/三成研究室
(3)宿泊 宿泊については各自で手配してください。近鉄奈良駅及びJR奈良駅周辺には、一定数のホテルがあります。 早めのご予約をお願いします。
(4)観光 東大寺・興福寺・奈良公園・奈良国立博物館・春日大社等は大学から徒歩圏内です。学会とあわせて奈良観光も楽しんでください。 観光案内 → http://koto.nara-wu.ac.jp/campus/top.htm
(5)奈良女子大学イベント託児システムあり(個別託児:1対1保育、時給800円程度/集団託児:2人以上の保育サポーターによる保育、時給1000~1300円程度、申し込みは学会開始2週間前頃。学会補助あり―実費の半額)

スライド1

チラシ表面

スライド2

チラシ裏面

●12月5日(金)学術大会前夜 18:00-20:00 プレ企画「ひとり親家庭への支援と課題」 

①「企画趣旨」二宮周平(立命館大学)(5分)
②「ひとり親家庭と子ども支援~その現状と課題」中塚久美子(朝日新聞記者)(30分)
③「寡婦控除と非婚の母への差別」金澄道子(東京弁護士会)(30分)  質疑(50分)

(企画趣旨)今次学術大会のシンポジウムⅡ「貧困からの脱却とジェンダー」(12月7日(日)午後)に関連して企画しました。2011年度厚労省「全国母子世帯等調査結果」によると、2010年の母子世帯の平均就労収入は181万円です。この厳しい状況に対して、政府は、「ひとり親家庭への総合的な支援体制の強化」を打ち出し、また「子どもの貧困対策法」を施行するなど、一定の対応を始めていますが、その実情はどうなのでしょうか。とりわけ地方自治体の取り組みについて、報道の現場から中塚記者に報告していただきます。 支援の1つとして税制があります。所得税法と地方税法にある所得控除の1つである寡婦控除です。最大、所得税で35万円、地方税で30万円が控除されます。しかし、非婚母子世帯には適用されません。その結果、より多くの所得税、地方税を支払い、課税所得が保育料、公営住宅の家賃などに連動するため、より多くの保育料、家賃を支払うことになります。非婚の母への差別といえます。そこで、みなし控除した所得で保育料などを減額する自治体も増えてきています。この問題について日弁連の意見書作成に関わった金澄弁護士に報告していただきます。 シンポジウムⅡに関連して、みなさまの積極的なご参加をお願い申し上げます。

〔参考文献〕 中塚記者の記事として、みなし寡婦控除に関する朝日新聞2013年9月22日〔朝刊〕、子どもの貧困対策法との関連で朝日新聞2014年1月17日〔朝刊〕など。 金澄弁護士の論文として、「相続分差別だけではない、婚外子と非婚の母を差別する『寡婦控除』」賃金と社会保障1605号(2014)4~10頁

●12月6日(土)学術大会1日目

9:30-11:30 ワークショップ(WS) 下記A,Bを同時並行で行います

A ジェンダー法学の体系を求めて
企画代表者・相澤美智子(一橋大学大学院法学研究科)、共同報告者・水林彪(早稲田大学法学学術院)
(企画趣旨)エンゲルス『家族・私有財産・国家の起源』は、女性の「世界史的敗北」の歴史と「世界史的復権」の展望とを、全社会構造との関係において解明しようとした点において、ジェンダー学の最も重要な方法的基礎を提供するものではないか。相澤が水林の助言を得て作り上げてきた「ジェンダーと法」の講義骨格は、以上の認識を出発点にするものであり、今日一般的となっている「ジェンダーと法」の講義や、そこで用いられる教科書の多く――「ジェンダーと法」の問題を各実定法分野に分解し、「○○法とジェンダー」の算術的総和により構成されたもの――とは、全く異なるものとなっている。WSでは、まず、水林が、エンゲルス理論一般を論じ、ついで、相澤が、同理論を基礎として構築された「ジェンダーと法」の講義骨格を、既存のジェンダー法学の「方法」と「体系」への対案として提示する。そして、WSにおける意見交換を通して、この学問の体系化に向けた議論をいくばくかなりとも前進させたい。

B 雇用差別禁止立法の実効性をどう確保するか ― イギリス2010年平等法を手がかりに
(報告者)浅倉むつ子(早稲田大学)、内藤忍(労働政策研究・研修機構)、宮崎由佳(電機連合総合研究企画室)
(企画趣旨)2012年より始まった男女雇用機会均等法(均等法)の見直し議論は、法規定そのものではなく、施行規則・指針の部分的改正にとどまった。1985年に制定されて以降、均等法は、2度の改正を経ることによって、たしかに徐々にその内容を充実させてきている。しかし、労働の場における根強い性差別を是正するためには実効性が弱く、平等法としては依然として大きな課題を抱えている。 一方、イギリスは「2010年平等法」を制定した。この法は、それまで差別事由ごとに別個に制定されてきた9つの差別禁止立法を統合する包括的平等立法であり、既存の立法には存在していなかった新たな規定を導入して、平等法としての補強をも行った。そこで、イギリスがこのような立法を制定するに至った背景をさぐりつつ、その内容および実効性を確保する仕組み(紛争解決システムや法規制のあり方)を検討し、また、日本の実態を踏まえながら、差別禁止立法のあるべき姿への示唆を得ることにしたい。

11:30-12:50 昼食休憩 11:40-12:50 第5期第13回(最終)理事会 

13:00-17:00 シンポジウムⅠ「ジェンダーとケア」(責任者・三成美保、岡野八代) 

司会 三成美保(奈良女子大学)・牟田和恵(大阪大学)
趣旨説明―ケア論の射程  三成美保(奈良女子大学)
報告1 「総論―ケアの倫理の社会的可能性」 岡野八代(同志社大学)
報告2 「憲法上の権利とケア」 遠藤美奈(早稲田大学)
報告3 「ケアと労働」 緒方桂子(広島大学)
報告4 「ホームレス状態にあること」 遠藤比呂通(大阪弁護士会)

(企画趣旨) いまや、「ケア」は、「持続可能な社会」を求めて、社会保障、コミュニティ、正義、労働、税などを学際的に論じるキーワードとなっている。しかし、「ケア」論の射程が身体性を伴う人的関係からコミュニティや社会全体の関係性概念(ネットワーク論)へと広がるほどに、ジェンダー視点は相対化されつつある。 そもそも、ジェンダー論が「ケア」を問うたのは、政治や経済を男性が担う「公的領域」とし、家庭やケアを女性が担う「私的領域」とする公私二元的なジェンダー秩序を根本的に批判するためであった。それは、人間像を「自律的個人」から「ケアし、ケアされる人間」「傷つき依存しあう人間」へと改め、ケアワークを「不可視化された不払い労働」から「人間存在に不可欠の労働」であると同時に、「高度に政治性と経済性をもつ労働」に位置づけ直すことを意味した。ジェンダー論は、傷つきやすい身体と必ずしも男女に二分されない性をもつ人間存在(個人)の生存や尊厳にかかわる根源的問題として「ケア」を論じようとしたのである。 「ケア」論は、日本の危機に直結した議論である。それは、将来の法政策を左右するにちがいない。「ジェンダー公正」を実現するための出発点として、今回のシンポジウムでは、総論として理論的枠組みを提示したうえで、憲法人権論と労働法から要となる論点を指摘してもらい、公私双方のケアから漏れ落ちがちな人びとのケアに携わる実践の立場から問題提起をしていただく。

17:30- 懇親会(構内ラウンジ・文学系S棟1階) 会費5000円(院生・学生3000円)

●12月7日 (日) 学術大会2日目

9:30-11:30  個別報告A・Bを同時並行で開催

【個別報告A】 司会 矢野恵美(琉球大学)
1 石田京子(早稲田大学法務研究科准教授)弁護士キャリアの「ガラスの天井」の構造分析―第62 期弁護士追跡調査の結果から
2 對馬果莉(同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科博士後期課程)グローバル・ケア・チェーンの批判的考察 ― アーレントの世界疎外概念を中心に

【個別報告B】司会 小島妙子(仙台弁護士会)
1 金 成恩(キム・ソンウン:立命館大学グローバル・イノベーション研究機構・専門研究員) 韓国における子の氏の決定ルール ― ジェンダーの視点からの検討 ―
2 佐藤美和(お茶の水女子大学大学院研究院研究員)同性婚をめぐる法的議論における婚姻する権利の平等 ― アメリカとカナダの事例を中心に

11:35-12:05 第12回総会(含む・西尾学術奨励賞授賞式)

12:05-13:00 昼食休憩 12:10-12-50 第6期第1回理事会

13:00-17:00 シンポジウム2 「貧困からの脱却とジェンダー」

企画担当 浅倉むつ子(早稲田大学)、神尾真知子(日本大学)、中野麻美(東京弁護士会)、二宮周平(立命館大学)
司会 浅倉むつ子、神尾真知子
趣旨説明―近代家族の問題性と脱却への展望 二宮周平(立命館大学)
貧困とジェンダー             阿部彩(国立社会保障・人口問題研究所)
出産・育児を契機とする働く女性の貧困   菅野淑子(北海道教育大学)
非正規雇用とジェンダー          中野麻美(弁護士)
女性の貧困に対する住まいの支援政策    金川めぐみ(和歌山大学)
<家族>への支援 ―養育費をめぐる法政策 下夷美幸(東北大学)

(企画趣旨)日本の貧困率が注目を集めている。2000年以降、OECDは、日本がジニ係数でも相対的貧困率でもOECD諸国の中でワーストクラスにあると指摘している。2000年の日本の相対的貧困率は13.5%であり、アメリカの13.7%に次いで高い。しかも日本の貧困には、OECDの他の国とは異なる特色がみられる。他の国の相対的貧困世帯は、「有業者なし」の世帯が37.3%、夫婦共働き世帯が17%であるのに、日本の場合は、有業者なしの世帯の比率が17.3%、夫婦共働き世帯が39%と逆転している。つまり日本では、有業でも貧困となるリスクが高く、共働きでも貧困から脱出しにくい。さらにひとり親世帯の場合には、50.8%にも及ぶ(2012年)。ここには日本のワーキングプアの存在と、女性の稼得力の貧弱さが示されている。日本の貧困では、ジェンダーこそが問題なのである(大沢真理『いまこそ考えたい生活保障のしくみ』岩波ブックレットより)。 本企画では、日本の貧困の最大の特色であるジェンダーの観点を中心におきつつ、さまざまな貧困の現象を浮き彫りにし、法的な分析を加えながら、貧困からの脱却のための対応策を議論する。