【新刊】三成美保編『同性愛をめぐる歴史と法―尊厳としてのセクシュアリティ』 (世界人権問題叢書) 明石書店、2015/9/1
【お知らせ】本書は、朝日新聞「ニュースの本棚」で取り上げられました。
本書は、朝日新聞「ニュースの本棚」(2015年12月13日、日曜日)で取り上げられました。
全文は「朝日新聞デジタル」で読むことができます(無料)。
⇒http://www.asahi.com/articles/DA3S12115496.html
【内容】
性的指向の自由は、人間の尊厳にかかわる人権である。アメリカ最高裁判決で脚光をあびる同性婚もその文脈から擁護されねばならない。本書は憲法や家族法等から同性愛の立ち位置を考えると共に、日本文学やナチズム等、歴史に刻まれた同性愛を深く探究する。
【目次】
はじめに――同性愛をめぐる歴史と法[三成美保]
総論 尊厳としてのセクシュアリティ[三成美保]
はじめに─歴史的産物としての性愛二元論
一 性の境界の曖昧さと揺らぎ
二 「同性愛/異性愛」二元論の歴史的背景
三 「異性愛(正常)/同性愛(異常)」という性愛二元論の確立
おわりに─日本における今後の課題
第1部 性的指向の権利保障
第1章 「同性愛」と憲法[中里見博]
はじめに
一 日本型ホモフォビア
二 「異性愛」の歴史化と脱自然化
三 日本型ホモフォビアと憲法
四 同性愛差別禁止の憲法上の根拠
おわりに
COLUMN1 セクシュアリティ射程と歴史研究[長志珠絵]
第2章 家族法――同性婚への道のりと課題[二宮周平]
はじめに
一 近代的家族法制度の前提と変容
二 同性カップルの生活保障類型
三 同性婚導入のプロセス
四 親子関係へのアクセス
五 法の果たすべき役割─法の不介入と介入
おわりに
第3章 「同性愛」と国際人権[谷口洋幸]
はじめに
一 前史
二 展開
三 考察
四 むすびにかえて――現状から見えてくる課題
COLUMN2 同性愛解体――LG(レズビアン/ゲイ)二元論から、性的指向の一つへ[原ミナ汰]
第2部 歴史の中の同性愛
第4章 クィアの日本文学史――女性同性愛の文学を考える[木村朗]
はじめに
一 男色から同性愛へ
二 エロティシズムのほうへ
三 女性の同性愛表現
四 宮廷物語の女性同士の性愛関係
おわりに
第5章 元禄期の武家男色――『土芥寇讎記』『御当代記』『三王外記』を通じて[鈴木則子]
一 男色と政治史
二 幕府中枢部から見た大名男色――『土芥寇讎記』
三 御家人層から見た幕府人事と綱吉の男色――『御当代記』
四 儒者が見た綱吉の治世――『三王外記』
おわりに
COLUMN3 ともに嫁ぐか、ともに死ぬか?――前近代中国の女性同性愛[野村鮎子]
第6章 ウィークネスフォビアとホモフォビア――「日本男児」が怖れたもの[内田雅克]
はじめに
一 日清戦争から日露戦後期
二 第一次世界大戦から軍縮期
三 アジア太平洋戦争下
おわりに
COLUMN4 物語としての『青い花』――雛形としての少女文学[山崎明子]
第7章 ナチズムと同性愛[田野大輔]
はじめに
一 「悪疫」としての同性愛
二 「男性国家」の中の同性愛
おわりに
COLUMN5 フランス近代小説に見る同性愛[髙岡尚子]
[資料]同性愛/性的指向/LGBTに関する対比年表[三成美保]