「ひと」から問う世界史(3巻本)の関連ページ

2022-04-15 執筆:三成美保

企画趣旨

本企画は、科研費基盤研究(A)「ジェンダー視点に立つ『新しい世界史』の構想と『市民教養』としての構築・発信」(2015~2019年度)(代表者:三成美保)及び科研費基盤研究(B)「「アジア・ジェンダー史」の構築と「歴史総合」教材の開発」(2020~2022年度)(代表者:三成美保)の成果として出版するものです。共同学術研究の最新の成果を「市民教養」としてわかりやすくまとめた本を目指しています。

わたしたちの研究グループは、「比較ジェンダー史研究会」です。この研究会をつくったきっかけは、日本学術会議第22期(2011~2014年)史学委員会ジェンダー史分科会にあります。そこでの審議やシンポジウムをもとに科研費(B)「歴史教育におけるジェンダー視点の導入に関する比較研究と教材の収集及び体系化」(2012~2014年度:代表者は三成美保)に基づく共同研究を開始し、その成果は、高校歴史教科書の章編成にならって編集した『歴史を読み替える』2巻本(世界史=三成・姫岡・小浜編、日本史=久留島・長野・長編)として出版することができました(2014~2015年)。今回の3巻本は『読み替える』の発展版ですが、『読み替える』を根本的に超える書物とも言えます。従来の世界通史とはまったく異なるコンセプトをとるからです。

「新しい世界史」としての本3巻本の独自性は、本書が「国家や政治・外交・経済」といった「大きな物語」からではなく、「ひと」の身体やセクシュアリティ(LGBTを含む)から議論をはじめ(第1巻)、家族や共同体・国家、空間配置や公私関係などに着目し(第2巻)、グローバルな関係や交易・戦争・植民地主義、世界史の意義などについて論じる(第3巻)という問題設定にあります。「新しい世界史」を謳った書物はほかにもありますが、本書のようにジェンダー視点を鮮明に打ち出し、ジェンダー視点ならではの章構成やテーマ設定を試みた書物はほかにないのではないでしょうか。その意味で、本書はきわめて独創性が高く、学術的にも今後のジェンダー史研究と世界史教育の重要な画期をなす書物と言えます。

また、書物に収めきれなかった情報は、本HPにて公表します。ぜひご活用ください。

「アジア・ジェンダー史」の構築に関しては、「アジア・ジェンダー研究ウェビナーシリーズ」を本HPで公表しています。ご参照ください。

出版予告

本3巻本は、2022年秋以降に、大阪大学出版会から刊行予定です。

全3巻の構成

第1巻『「ひと」とはだれか?――身体・セクシュアリティ・暴力』

(編者)三成美保(追手門学院大学教授/奈良女子大学名誉教授・ジェンダー史・ジェンダー法学)・小浜正子(日本大学教授・中国近現代史)・鈴木則子(奈良女子大学教授・日本近世史)

第2巻『「社会」はどう作られるか?――家族・労働・文化』

(編者)久留島典子(神奈川大学教授/東京大学名誉教授・日本中世史)・姫岡とし子(東京大学名誉教授・ドイツ近現代史)・小野仁美(東京大学助教・イスラム研究)

第3巻『「世界」をどう問うか?――地域・戦争・環境』

(編者)井野瀬久美恵(甲南大学教授・大英帝国史)・長志珠絵(神戸大学教授・日本近現代史)・粟屋利江(東京外国語大学教授・インド近現代史)