【家族データ②】合計特殊出生率(動向・国際比較)

2015.07.03更新 2015.01.27掲載 三成美保

(0)14年の合計特殊出生率1.42、9年ぶり低下 出生数は100万人(日本経済新聞2015年6月5日)

「厚生労働省が5日発表した2014年の人口動態統計によると、1人の女性が生涯に何人の子どもを産むのかを推計した合計特殊出生率は1.42とな り、9年ぶりに低下した。05年の1.26を底に緩やかに上昇していたが、前年を0.01ポイント下回った。女性が第1子を産む平均年齢は30.6歳とな り、晩婚・晩産が一段と進んだ。出生数は100万人割れ目前で、人口減少と少子化への対策が急務であることが改めて浮き彫りになった。
出生率は05年を底に上昇傾向をたどり、13年まで2年連続で上昇していた。第2次ベビーブームの1971~74年に生まれた「団塊ジュニア」と呼ばれる世代が30歳代後半から40歳代にさしかかって出産に積極的になったためだ。
14年は「団塊ジュニア」世代の出産が減少。前年の約7万人から5万人未満に減ったもようだ。さらに20歳代が一段と子どもを産まなくなった。出生率を年 代別にみると、20~24歳、25~29歳はいずれも4年連続で低下した。30歳代前半は9年連続で上昇しているものの、20歳代の低下を補うことができ ず、全体では前年を下回った。

出生率の低下は結婚・出産の年齢が上がっていることとも関係している。平均初婚年齢は14年には男性が 31.1歳、女性が29.4歳まで上昇した。女性が第1子を産む平均年齢は1995年に27.5歳だったが、30.6歳となり、過去最高だった前年 (30.4歳)よりさらに上がった。
第1子の出産年齢が上がると、第2子以降の出産も減る傾向にある。14年の第2子の出生率は5年ぶりに低下した。晩婚化や晩産化が一段と進んだことが出生率を押し下げた可能性が高い。
出生率が14年まで3年連続で1.4を超えたのは780万人いる「団塊ジュニア」の出産が押し上げた面が大きい。この世代の出産がピークを越え、今後はゆ るやかな低下傾向をたどる可能性がある。国立社会保障・人口問題研究所は「出生率は長期的に1.35で推移する」と予測している。
14年 の出生数は100万3532人で2.6%減った。統計の残る1899年以降でみると4年連続で過去最少を更新した。出産の中心となる15~49歳の女性の 人口は2566万7165人で1.0%減った。このペースでいけば、15年は出生数が100万人を割り込む公算が大きい。
出生数から死亡数を引いた人口の自然減は26万9488人で、過去最大の減少幅だった。人口減少が続くと労働力が目減りし、持続的な経済成長が難しくなる。医療や年金などを支える現役世代の負担が増し、結婚や出産をためらう「負の循環」に陥る恐れがある。
政府は3月に閣議決定した少子化大綱で今後5年間を少子化対策の集中期間とした。官民による少子化対策や人口減への取り組みが急務だ。」
出典:日本経済新聞 2015/6/5 14:29 (2015/6/6 0:35更新)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS05H68_V00C15A6000000/

(1)合計特殊出生率(total fertility rate)とは?

合計特殊出生率とは、1人の女性が生涯に何人の子供を産むかを表す数値をさす。15~49歳の女性の年齢別出生率を合計したもの。合計特殊出生率がおよそ 2.08のとき,人口は増加も減少もしないとされる。この数値を「人口置換水準」という。

●厚労省の定義から引用

(出典⇒http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai11/sankou01.html

≪引用≫「1.期間合計特殊出生率とコーホート合計特殊出生率

合計特殊出生率は「15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの」で、次の2つの種類があり、一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当する。

  • 「期間」合計特殊出生率
    • ある期間(1年間)の出生状況に着目したもので、その年における各年齢(15~49歳)の女性の出生率を合計したもの。
    • 女性人口の年齢構成の違いを除いた「その年の出生率」であり、年次比較、国際比較、地域比較に用いられている。
  • 「コーホート」合計特殊出生率
    • ある世代の出生状況に着目したもので、同一世代生まれ(コーホート)の女性の各年齢(15~49歳)の出生率を過去から積み上げたもの。
    • 「その世代の出生率」である。
  • 実際に「一人の女性が一生の間に生む子どもの数」はBのコーホート合計特殊出生率であるが、この値はその世代が50歳に到達するまで得られないため、それに相当するものとしてAの期間合計特殊出生率が一般に用いられている。 なお、各年齢別の出生率が世代(コーホート)によらず同じであれば、この二つの「合計特殊出生率」は同じ値になる。
  • ただし、晩婚化・晩産化が進行している状況等、各世代の結婚や出産の行動に違いがあり、各年齢の出生率が世代により異なる場合には、別々の世代 の年齢別出生率の合計であるAの期間合計特殊出生率は、同一世代のBのコーホート合計特殊出生率の値と異なることに注意が必要である。」

(2)日本と諸外国の動向

●戦後日本における出生数と合計特殊出生率の変化

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(出典:『平成25年度版少子化社会対策白書』http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2013/25webhonpen/html/b1_s1-1.html

●戦後日本における出生数と妊娠中絶数の推移

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(出典:内閣府「人口動態について(中長期、マクロ的観点からの分析③)」平成26年2月14日→http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/0214/shiryou_04.pdf

さらに参考として、http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai11/sankou01.html

●合計特殊出生率の変化(欧米と比較)

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(出典:『平成25年度版少子化社会対策白書』http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2013/25webhonpen/html/b1_s1-1.html

●合計特殊出生率の変化(アジアと比較)

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(出典:『平成25年度版少子化社会対策白書』http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2013/25webhonpen/html/b1_s1-1.html

●政府データ・解説(日本)