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【EU】EUの成立とEUにおけるジェンダー主流化

EU・EU諸機関・マーストリヒト条約・EUにおけるジェンダー主流化

掲載:2016-07-10 執筆:三成美保

EUとは?

Flag_of_Europe.svg「欧州連合(EU)は、独特な経済的および政治的協力関係を持つ民主主義国家の集まりである。EU加盟国はみな主権国家であるが、その主権の一部を他の機構に譲るという、世界で他に類を見ない仕組みに基づく共同体を作っている。現在28カ国が加盟している。

EUの人口は今や5 億人を超え、EUはすべての欧州市民に平和、繁栄および自由を保障するとともに、平和構築や開発援助などを通じ、世界の平和と安定に積極的に貢献することを目指している。

以上を実現するため、EUはその運営や法律制定のためのさまざまな機関を有する。主なものは以下の通り。

欧州議会(5年ごとの直接選挙で選ばれる議員で構成。欧州市民を代表)

欧州理事会(各EU加盟国の大統領または首相で構成)

欧州連合(EU)理事会(各加盟国を代表、閣僚が出席)

欧州委員会(立法準備を行い、EU法の施行と遵守を担当)

EUの法律は、原則的に欧州委員会が原案を提示し、EU理事会と欧州議会が検討・審議して策定される。

なお、欧州委員会には各加盟国から1人の委員(大臣に相当)がいる 。欧州委員会の各委員の氏名や担務などに関する日本語の情報はこちら

また、EUには「旗」、「歌」、「記念日」、「標語(モットー)」の4つのシンボルが ある。「欧州旗」は青地に円環状に配置された12個の金色の星で構成され、欧州議会や国際会議等の公式の場で掲揚される。「歌」はルートヴィヒ・ヴァン・ ベートーベンの交響曲第9番第4楽章「歓喜の歌」の主題部分であり、「記念日」は欧州の平和と統合を祝う「ヨーロッパ・デー」が5月9日に制定されてい る。EUの「モットー」は 「多様性の中の統合(United in diversity)」で、多くの主権国家、言語、文化をそれぞれ尊重しながら統合を進める欧州の理念を示している。」

(出典)駐日欧州連合代表部 http://www.euinjapan.jp/union/what-is-history/

【年表】EUにおけるジェンダー主流化の取組

EU地域統合の歩み

(出典)外務省HP http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol53/

1957 欧州経済共同体(EEC)創設条約 男女同一賃金の原則を含む。

1975 男女同一賃金の指令

1995 北京会議(第4回世界女性会議)で「ジェンダー主流化(Gender Mainstreaming)」を明記。

1996 EUが「ジェンダー主流化」に関する通達を採択。

2000 EU基本権憲章の起草、公布(ただし、法的効力を獲得したのはリスボン条約発効以降)

2006 EU「男女平等へ向けてのロードマップ(行程表)」(5カ年計画)の策定。男女平等の実現と女性の進出率が低い分野を二本柱に取り組む。

2009 リスボン条約発効により、「EU基本権憲章」が法的効力をもつようになる。男女平等が「基本的価値」及び目標とされる。

リスボン条約(全文・英語)→http://ec.europa.eu/archives/lisbon_treaty/full_text/index_en.htm

2010 3月 欧州委員会は、「女性憲章」を採択。

2010 9月「男女平等へ向けての戦略2010-2015」を策定。

【解説】EU「男女平等へ向けての戦略2010~2015」における5つの優先事項

「2010年9月に発表した5カ年戦略「男女平等へ向けての戦略2010~2015」では、女性の潜在力を活用し、EUの全般的な経済・社会目標の達成を目指すため、以下の5つの優先事項を掲げた。

1)男女双方の経済的自立と女性の労働市場への進出
2)同一労働同一賃金
3)企業幹部への女性の登用
4)女性に対する暴力の排除
5)対外関係や国際機関を通じた男女平等の推進

具体的には、「欧州2020(Europe 2020)」に掲げられている女性雇用率75%という目標に向け雇用を増やすこと、企業の女性役員の登用を促す仕組みを打ち出すこと、男性に比べ賃金が 18%少ないという賃金格差の問題意識を高めるイベントを組織すること、などを進めている。」
(出典)「ジェンダーバランスの実現にかけるEU」(EU MAG2014/08/26)http://eumag.jp/feature/b0814/

2011 3月 欧州委員会は、EUにおける会社役員の女性比率を2015年までに30%、2020年までに40%にあげる自主的な取組を決定。

→*内閣府男女共同参画「見える化」IV. 海外の情報開示制度等の調査 PDF140611_06

【関連ページ】

ポジティブ・アクションと取締役クオータ制については以下を参照。

【法学】ポジティブ・アクションー定義と現状(日本)(三成美保)

【法学】ポジティブ・アクションー比較(各国の取り組み)(三成美保)

男女平等実現に向けたEUの果敢な挑戦

【表】ヨーロッパの大手上場企業における女性役員の比率(2010年と2012年)

欧州の大手上場企業における女性役員の比率(%)
 
2010(10月)
2012  (1月)
EU27カ国
11.8
13.7
ベルギー
10.5
10.7
ブルガリア
11.2
15.6
チェコ
12.2
15.4
デンマーク
17.7
16.1
ドイツ
12.6
15.6
エストニア
7.0
6.7
アイルランド
8.4
8.7
ギリシャ
6.2
7.4
スペイン
9.5
11.5
フランス
12.3
22.3
イタリア
4.5
6.1
キプロス
4.0
4.4
ラトビア
23.5
25.9
リトアニア
13.1
14.5
ルクセンブルク
3.5
5.7
ハンガリー
13.6
5.3
マルタ
2.4
3.0
オランダ
14.9
18.5
オーストリア
8.7
11.2
ポーランド
11.6
11.8
ポルトガル
5.4
6.0
ルーマニア
21.3
10.3
スロヴェニア
9.8
15.3
スロヴァキア
21.6
13.5
フィンランド
25.9
27.1
スウェーデン
26.4
25.2
英国
13.3
15.6

資料:欧州委員会データベース

(出典)「男女平等実現に向けたEUの果敢な挑戦」(2012年)EUマガジン→http://eumag.jp/issues/c0612/

マーストリヒト条約(欧州連合条約)

1991年12月9日 欧州諸共同体加盟国間での協議がまとまる(通貨統合と政治統合)

1992年 2月7日 調印

1993年11月1日 ドロール委員会の下で発効

EU(European Union 欧州連合)の諸機関とジェンダー・バランス

EUは、マーストリヒト条約(欧州連合条約)により設立されたヨーロッパの地域統合体。リスボン条約(2007年調印、2009年12月発効)により、以下のような構成となった。

◆EUのガバナンス構造

EU独自のガバナンス

EU独自のガバナンス (出典)外務省HP(2016.07) http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol53/

◆欧州議会議員の女性比率の変遷

1979年の16%から、2014年の37%へと順調に女性比率が増加している。

欧州議会における女性議員比率 (出典)http://eumag.jp/feature/b0814/

◆欧州理事会

「欧州理事会(EU首脳会議)を構成する加盟国の首脳(首相もしくは大統領)レベルとなると、2014年8月現在、女性はドイツのアンゲラ・メルケル首相、 リトアニアのダリャ・グリバウスカイテ大統領、デンマークのヘレ・トーニング=シュミット首相、スロヴェニアのアレンカ・ブラトゥシェク首相の4人のみで ある。」(出典)http://eumag.jp/feature/b0814/

◆欧州委員会

全加盟国から1人ずつ選出される欧州委員会委員(閣僚に相当)については、2009年に委員を決める際のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長の強い要望により、9人の女性が委員となり、比率33%を達成している。また、欧州委員会(EUの行政執行機関)の管理職、一般職は、他の組織に比べて女性比率向上は良好に推移している。

【表】欧州委員会の管理職、一般職における女性比率
  2012年10月1日 2012年目標 2014年目標
上級管理職層 27.2 24.8 25
中間管理職層 28.7 27.7 30
一般職 42.4 42.7 43

◆EU加盟国と加盟年

EU加盟国と加盟年

EU加盟国と加盟年 (出典)外務省HP(2016.07) http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol53/

◆EU加盟国の変化

EU加盟国の変化 (出典)https://de.wikipedia.org/wiki/Europ%C3%A4ische_Union

◆ユーロの導入

ユーロに込められたEUの思い

ユーロ(出典)外務省HP http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol53/

対ユーロ(円) 1ユーロ=111円(2016年7月10日)

チャート画像

ユーロの導入(青)(出典)https://de.wikipedia.org/wiki/Euro

◆ユーロ導入国(青)及びユーロとの固定為替相場を導入している国(赤)

Staaten und Gebiete mit Euro oder fester/enger Wechselkursbindung zum Euro (Stand 1. Januar 2015):(出典)https://de.wikipedia.org/wiki/Euro

世界史Ⅱ

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